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いつの間にか、AAFCOがそれに取って代わり、すべてのペットフード会社が、これに準ずるようになってしまった。
Hさんが言う。
「日本でも畜産試験場の基準はNRCの基準に準じてやってきた。
世界的にはやはりNRCが総元締めなんですよ。
ところがAAFCOの方は、どちらかといえばペットフード会社寄りなところがある。
タンパク質にしても脂肪にしても高め、高めに出してきた。
だからペットフードは、みんな栄養過剰なんです。
私自身はNRCの方が学問的には正当だと思ってるんです。
NRCは学究肌で、業者にくみしない。
これに対してAAFCOは、自分で研究を行なっている機関ではないですから。
NRCの基準は、以前はタンパク質の値が高かったんですが、あるときを境にそれを思いきって下げた。
そうしたら、ペットフード業界にNRCのデータは学問的過ぎて実用的ではないと批判が起こって、各社ともそれを信用しないようになってきた」分かりにくいのは、どうしてそんなに栄養過剰のペットフードにしたいのかだが、そこには飼い主が、手作り食でやろうとしても簡単には真似できないようにする、という意図が見え隠れする。
手作り食でやろうとする人たちの出鼻をくじくというのが、この異様に高く設定された栄養基準というわけだ。
本津さんは、今の日本の犬や猫たちに、そんなに高い栄養を与える必要はないと言う。
「キャットフードにはタンパク質が10%も入っている。
大学の先生にはω%にするべきだという人もいる。
その人が言うには、猫はネズミを食べるでしょうと。
ネズミはタンパク質が叩%もあるからということなんですが、今はネズミを食べる猫などいません。
昔の猫は外で闘っていた。
だからタンパク質が必要だったわけです。
今のキャットフードの目的は『健康で長生き』であって、強い身体をつくることじゃないですから」日本にもペットフード公正取引協議会なる業界団体があって、そこでもAAFCOの基準がそのまま使われている。
しかしながら、この団体には栄養学的な知識はまったくない。
また公正取引協議会という名称もいかがわしい匂いがしなくもない。
一見、公正取引委員会のお墨付きがあるようにも見えるが、公的なものではなく、あくまでも業界団体である。
ペットに馬肉のナマ食を推奨している「O」代表のKさんは言う。
「犬に関する栄養学というのは、まったく確立されていません。
AAFCOにはもっともらしい栄養要求量の基準がありますが、犬に関しては基礎代謝すら分かってないんですよ。
学術的には何も分かってない。
あのデータが、本当に第三者的な研究機関で、科学者が純粋な動機に基づいて純粋な研究としてやった結果なのかどうかと言ったら、かなり怪しい。
だって、日本の栄養学の権威たちに聞いても、そんな基礎代謝のデータは知らない、とみんな口を揃えて言いますから。
そんな文献は見たことがないと」A動物病院のH先生も、獣医学者として言う。
「犬や猫に関する栄養学というのは、日本の獣医学の中には存在しません。
1時間だって学んでないわけですから。
生理学とか代謝とかはありますけど、栄養学はまったくない。
栄養学の本はペットフード会社のPR本しか存在しません。
M研究所というところが出している専門書ですが、ここはあるフード会社の研究所です。
だから最後はそこのフードの宣伝になっていきます。
処方食を出しているフード会社は基本的にみんな研究所を持っていて、それがけっきょく犬猫の栄養学の研究機関ということになるんですが、それは学問ではない。
学問というのは、どこかの肝煎りではいけませんから。
獣医師が栄養学の話を聞くときというのは、有名なペットフード会社から講師が来てレクチャーをするときですけど、これはたいてい商品案内が目的です。
それ以外ではペットの栄養学そのものが存在しませんから、獣医師がペットの栄養学について論じること自体、おかしな話ということです」犬猫の栄養要求量に関する研究は、純粋な科学者が純粋な動機に基づいて行なったものはない。
だからどこのペットフード会社も、AAFCOの基準に準じてやっていくしかないということは分かった。
しかし、冒頭の高校生の話でも分かるとおり、そこに示された数値が守られていれば「良いペットフードか」と言えば、そうとは言い切れないということだろう。
本来なら、この基準に加えて生涯飼育試験をやって調べるべきだと思う。
そう言うとでっちはやっている」という会社もありそうだが、自社の研究所ではなく、あくまでも息の掛かっていない外部の第三者機関で行なう必要がある。
自社の研究所は、親会社にとって都合の悪いデータを出さないことが分かりきっているからだ。
ここで気になるのは、先の高校生は何の食材も使わずにどうやってAAFCOの栄養基準をクリアしたのかということだろう。
Uさんは言う。
「ペットフードは、トウモロコシをベースに肉骨粉を使ってつくられることが多い。
それらはもとがカスばかりなので、犬や猫にとって適切な栄養量があるかと言うとNOです。
本来の食性から言えば、猫などはネズミなどの小動物を捕まえて丸ごと頭から食べていた。
つまり、ネズミという生体が維持していたものをそのまま受け継いだということ。
これが肉食動物の一番手軽な栄養補給ですけど、ペットフードは、そこから栄養のある部分を取って、捨てる部分だけを集めてつくるわけですから、ネズミを丸ごと食べるのと同じようにはいかない。
だからビタミンやミネラルのほとんどは後から添加します。
じゃあどれだけ添加すればいいかと言うと、裏付けになるものが何もないですよね。
いちおう今あるもの、AAFCOの基準を満たすように添加していく」原材料の肉や穀物には栄養分がほとんどふくまれていないペットフードは、それを補うために、製造過程で人工的な栄養素を添加せざるを得ない。
しかしながら、人工的な栄養素は犬猫にとって吸収しにくいため内臓器官の負担となったり、個体によって吸収率が違うため、栄養バランスを崩して肥満や成長発育不良にもつながることがあるという。
「人間でも動物でも、きちんとした食事から必要な栄養分をバランスよく吸収するのが内臓負担も少ないし理想的なんです。
きちんとした食事を取らずにサプリメントで栄養補給しているだけでは、健康的とは言えないのと同じです」しかし、こうした人工的なものをいっさい使わずに、ふつうの食材だけを使って犬や猫に必要な栄養量を揃える作業をやってみると、じつに難しいそうだ。
なぜなのか?基準がおかしいのか、それとも食材そのものが必要な栄養量をふくまないようになってきているのか、非常に栄養の濃いものを大量に使わなければならなくなる。
牡蛎エキスをドーンと使わなければミネラルが補給できないとか、小麦だったら匪芽の部分ばかりを使わなければならなくなるという。
それが犬にとって必要と言われてる栄養の基準なのだ。
「手作り食をやっている人は、そんなビタミンやミネラルをよけいに加えてあげているわけではありませんよね。
それでも長生きしているワンちゃんはたくさんいる。
そう考えると、AAFCOの基準にどれほどの妥当性があるものか、実際のところ分かりません。
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